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「染め」と「織り」の違いとは?きもの選びが楽しくなる基礎知識

きもの豆知識

きものの世界は、艶やかな美しさから、素朴で温かみのある風合いまで、実にさまざまな表情を見せてくれます。

その多彩な魅力を生み出しているのが、「染め」と「織り」という二つの技法です。

どちらもきものを形づくる重要な要素であり、それぞれに異なる特徴と歴史があります。

本記事では、「染め」と「織り」の違いをわかりやすく解説しています。きもの選びの参考として、ぜひご活用ください。

「染め」のきものとは?絵を描くように彩る技法

染めの基本と特徴

「染め(後染め)」のきものは、白い生地に後から模様や色を加えることで、美しい絵のような意匠を表現する技法です。

手描き染め・型染め・絞り染め等の技法があります。

特に、フォーマルな装いである訪問着や留袖など「格」が求められる装いに用いられます。

代表的な染めの技法ときものの種類

染めにはさまざまな技法があり、地域によっても個性が異なります。以下に代表的な技法を簡単にご紹介します。

京友禅(きょうゆうぜん)

京都で発展した技法で、手描きによる繊細な模様や金彩・刺繍などが特徴。華やかで訪問着や振袖に多く用いられます。

加賀友禅(かがゆうぜん)

石川県金沢発祥の友禅で、写実的な草花模様やぼかしの表現が美しいのが魅力。ぼかしの技法が美しく、落ち着いた印象です。

江戸小紋(えどこもん)

一見無地にも見えるほど細かな文様が特徴。武家文化にルーツを持ち、現在では色無地に近い感覚で使われます。

紅型(びんがた)

沖縄の伝統染め。南国らしい鮮やかな色彩と大胆な柄が特徴的で、独自の存在感があります。

「織り」のきものとは? 糸で織り出す美の世界

織りの基本と特徴

織り(先染め)」のきものは、あらかじめ染めた糸を織って柄を表現する技法です。裏表が同じです。

染めと比べて控えめで素朴な印象があり、カジュアルや日常使いに適したきものが多いのも特徴です。とても丈夫で着心地がよく、長時間の着用にも向いています。

代表的な織りの技法ときものの種類

織りのきものには、糸の素材や織り方、産地によってさまざまな種類があります。

大島絣(おおしまかすり)

鹿児島県の奄美大島などで作られる、先染めの糸による細かな幾何学模様が特徴。軽くて丈夫で、通気性にも優れています。

結城紬(ゆうきつむぎ)

養蚕が盛んな茨城県・栃木県の境を流れる鬼怒川周辺の土地で織られる紬です。昔ながらの製織工程を守り、織のきものとしては大島絣と並び、とても有名です。

小千谷縮(おじやちぢみ)

新潟県の伝統織物。麻素材で「しぼ」の涼しげな風合いがあり、夏のきものに最適です。

西陣織(にしじんおり)

京都の高級織物で、金銀糸や色糸を使った豪華な帯が有名。フォーマル用の帯が多く生産されています。

「染め」と「織り」はどう使い分ける?シーン別の選び方

「染め」と「織り」のきもの、どちらを選べばいいのか迷うこともありますよね。

ここでは、装いの格やシーン別の使い分け方をわかりやすくご紹介します。

格式の基本的な考え方

きものには「格(フォーマル度)」という考え方があり、場にふさわしい装いを選ぶことが大切です。

基本的に、

  • フォーマルな場面には「染め」
  • カジュアルな場面には「織り」

礼装や式典など、改まった場面で着用するフォーマルな装いの「染め」のきもの。

たとえば、結婚式・卒業式・入学式などでは、繊細な模様や華やかな色使いの染めのきものが、晴れの場にふさわしい印象を与えてくれるでしょう。 また、染めのきものの中には、小紋という「外出着」もあります。

一方で「織り」のきものは控えめで落ち着いた雰囲気があり、カジュアルなお出かけや趣味の場など、日常的な場面で活躍します。

この「格」を誤ってしまうと、場にそぐわない印象を与えてしまうこともあるので、注意しましょう。

季節や場面別の使い分け例

きものは、季節や着用する場面によって選ぶ種類や素材が異なります。「染め」と「織り」の使い分けも、シーンに合わせた装いを整える上で重要なポイントです。

【着こなしの一例】

シーンおすすめのきもの染め or 織り
春の卒業式・入学式訪問着・付け下げ・色無地染め
夏祭り・花火大会小千谷縮・夏大島・夏結城織り
友人との食事・街歩き紬・小紋織り・染め
結婚式黒留袖・色留袖染め

たとえば、春の卒業式や入学式といったセレモニーでは、華やかで上品な印象を与える「訪問着・付け下げ」がおすすめです。お祝いの場にふさわしい明るい色合いや季節の花があしらわれたデザインが好まれます。

また、夏場には冷たい肌ざわりと乾きやすい性質をもつ麻素材の「小千谷縮(織り)」なども活躍します。涼しげで軽やかな麻素材は、夏祭りや花火大会などのカジュアルなイベントにぴったりです。

まとめ

「染め」と「織り」の違いを知ることで、きもの選びがぐっと楽しくなります。

長沼静きもの学院では、こうした知識を実際に体験しながら学べるコースをご用意しています。実際に手に取り、比べて、着てみることで、自分にぴったりのきものの装いに出会えるかもしれません。

まずは「きものの奥深さに触れてみたい」そんな気持ちがあれば大丈夫。

きもののある暮らしを、ぜひご一緒に楽しんでいきましょう。

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