冬のきもの姿は凛とした美しさがある一方で、「思ったより寒い」と感じた経験のある方も多いのではないでしょうか。
きものは重ね着をする装いのため一見暖かそうに見えますが、構造上どうしても冷えやすい部分があります。
本記事では、きものが寒く感じる理由と、きものならではの防寒対策をわかりやすく解説します。冬のお出かけも、きものを快適に楽しみましょう。

きものが寒く感じる理由
きものは重ね着をしているにもかかわらず、意外と寒さを感じやすい装いです。まずは、その構造や履物の特徴から、冷えの原因を確認していきましょう。
首元・袖口・裾から風が入りやすく冷えを招く
きものは前合わせの構造上、衿元・袖口・裾に隙間ができやすく、そこから外気が入り込みやすいのが特徴です。
とくに衿元は空気が抜けやすく、体温が逃げやすいポイント。袖も筒状になっているため、腕を動かすたびに冷たい風が入り、腕全体の冷えにつながります。
また、裾が広がることで足元からの冷気を取り込みやすく、洋服よりも「下から冷える」と感じやすくなります。
足袋と草履は保温性が低く足元が冷えやすい
足袋は薄手で作られているものが多いため、地面からの冷えが直接伝わりやすい履物です。加えて、草履はつま先が開いているため、冷たい空気が指先に触れやすくなります。
洋装では靴下と靴で足先を覆いますが、きものの場合は足先の防寒が難しく、結果として足元の寒さを強く感じやすくなるのです。
きもので使える防寒アイテム
きものの美しいシルエットを保ちながら防寒するためには、専用アイテムの活用が欠かせません。
肌着・インナーでしっかり保温
防寒の基本は、まず肌に近い部分を整えることです。きもの専用のインナーや、薄手で保温性のあるインナーを選ぶことで、着ぶくれを防ぎながら暖かさを確保できます。
タイツやレギンスを使用する場合は、裾に響きにくい薄手タイプを選ぶことが大切です。あわせて、白やベージュなど肌になじむ色を選ぶと、淡い色のきものや光の当たり方によっても透けにくく、見た目も安心です。
また、肌襦袢や裾避けは汗を吸い取り、体温調整を助けるだけでなく、きもののラインを整える役割もあります。防寒のためにも省かず、季節に合わせた素材や厚み、色味を意識して選ぶことで、着姿を崩さず快適に過ごせます。
首元の防寒にショール・マフラー
首元は冷えを感じやすい部分のため、ショールやマフラーを上手に取り入れると防寒効果が高まります。
フォーマルな場では上質なショールを、普段のお出かけにはマフラーなど、シーンに合わせて使い分けるのがおすすめです。
巻き方のポイントは、衿元をつぶさないこと。衿に沿わせるように、ふんわりとかけることで、きもの姿を美しく保てます。成人式で見られる白いファーも、華やかさと防寒を兼ね備えた代表的なアイテムです。
足元の冷え対策に足袋や草履の工夫
足元の冷えには、二重足袋や裏起毛タイプの足袋が効果的です。さらに足袋カバーを重ねることで、冷気や風を防ぐことができます。
また、雨や雪の日には、つま先カバー付きの防寒草履を選ぶと、冷えと濡れの両方を防げて安心です。天候に応じて履物を工夫することで、快適さが随分変わります。
羽織・道行コート・道中着などのアウター
外出時には、羽織や道行コート、道中着などのアウターを活用しましょう。気温や用途、装いの格式に合わせて選ぶことが大切です。
これらのアウターは、きもののシルエットを崩さずに防寒できるよう作られています。重ねても動きやすく、見た目もすっきりとした印象を保てます。
きものならではの防寒で注意したい点
防寒を意識するあまり、かえって不快感や着崩れを招いてしまうこともあります。きもの特有の注意点を知り、快適に過ごす工夫を押さえておきましょう。
h3:化繊インナーは汗冷えや静電気を招きやすい
ヒートテックなどの化繊インナーは暖かい反面、きものを着用する際には注意が必要です。
きものは洋服のように脱ぎ着がしやすくないため、屋内に入った際に体温がこもりやすく、汗をかいてしまうことがあります。その汗が冷えることで、かえって体を冷やしてしまう場合もあります。
また、化繊素材は静電気が起きやすく、裾さばきが悪くなる原因にもなります。発熱素材が熱くなりすぎて調整しにくい点も注意が必要です。
対策としては、肌に直接触れる一層目には綿など吸湿性の高い素材を選ぶこと。化繊インナーを使う場合は薄手で発熱量の少ないものを選び、腹部や背中など体温がこもりやすい部分は天然素材で蒸れを防ぐと快適です。
貼るカイロは低温やけどや着崩れの原因になりやすい
貼るカイロを帯の下や腰回りに使うと、締め付けと圧が重なり、低温やけどのリスクが高まります。
また、背中や腰に凹凸ができると、着崩れの原因にもなるでしょう。屋内に入った際に暑くなり、温度調整ができない点も注意が必要です。
対策としては、貼るタイプではなく持つカイロや足元用カイロを活用すること。使用する場合も、肌に直接貼らないようにしましょう。
まとめ
きものの防寒対策は「重ねればよい」だけではなく、素材選びやアイテムの使い方が重要です。
首元・足元・肌着を意識し、きもの専用の防寒アイテムを上手に取り入れることで、見た目を損なわず暖かく過ごせます。
きものならではの注意点を押さえながら、寒い季節も快適に、きもののおしゃれを楽しみましょう。